定款とは会社の屋号(名前)、事業の目的、本店の所在地、資本金額、株式、組織、運営など会社の基本的なルールを定めたもののことをいいます。このことから、会社の「会社の憲法」と呼ばれるとても重要なものです。株式会社を設立する場合には必ず作成します。
定款は発起人により作成され、署名、捺印をして、公証人役場の認証を受けなければなりません。会社設立時に作成された定款を「原始定款」と言い、設立の登記をする際に必要になります。
会社はこの定款に沿って自主的に運営されますが、この自主運営のことを定款自治と呼ばれます。
また、定款には絶対に記載しておかなければならない項目があります。これを絶対的記載事項といいます。
絶対的記載事項の他に相対的記載事項や任意的記載事項を記載することもできます。相対的記載事項とは、法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項のことをいいます。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、項定款に必ず記載しなければならない項目であり、記載しなければ定款が無効となります。会社法では株式会社の定款には、以下の表に5項目を記載しなければならない、とされています。
絶対的記載事項 | |
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目的 | 会社の事業目的を記載 |
商号 | 商号とは、 商人(個人と会社)が営業上、自己を表示するために用いる名称と定義されます。 つまり、屋号(個人の場合)や、会社の名称・社名(会社の場合)のことです。 個人の商号については商法で、会社の商号については会社法で、それぞれ規定されています。 |
本店の所在地 | 本店の所在地は、最小行政区画である市区町村(政令指定都市にあっては区)までを記載しなければなりません。 番地等まで定款でくわしく定めてしまうと、将来、同一市区町村内で本店を移転した場合であっても、定款変更の手続きが必要となります。 |
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 | 株数ではなく、出資財産額又は最低額を記載します。 資本金の額(絶対的記載事項ではない)を定款で決めておく方法と、定款にはその最低額のみを決めておき、資本金の額は、定款作成後、別に決定する(=その書類必要となる)方法があります。出資財産額の下限制限はありません。 |
発起人の氏名又は名称及び住所 | 発起人の氏名又は名称、住所を記載します。発起人とは、最初の株主(出資者)のことです。1人以上必要です。自然人(人間) 以外に、法人(会社など)も会社の発起人になることができます。 |
発行可能株式総数 | 会社が発行を認めている株式の上限数のことを言います。 |
相対的記載事項
相対的記載事項とは、記載しなくても定款が無効になることはありませんが、記載することにより法律的な効力を持つ項目のことです。
相対的記載事項 | |
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変態的記載事項 |
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株式の譲渡制限に関する規定 | 株式の譲渡は原則自由ですが、定款で、株主の譲渡制限を設けることができます。 会社法では、譲渡制限のない株式を発行する会社を公開会社、すべての株式に譲渡制限をつけている株式会社のことを公開会社でない会社と言います。公開会社でない会社は、公開会社に比較して、期間設計の自由度が広く認められています。 |
株主総会、取締役以外の機関の設置 | 株主総会、取締役以外の機関の設置するときには、規定する必要があります。 |
取締役、監査役などの任期 | 会社法では、取締役の任期は2年・監査役の任期は4年と定められています(定款でそれより短い規定を定めることは可)が、公開会社でない会社(株式譲渡制限会社)については、定款で定めれば、それぞれ任期を10年まで延ばすことが可能となります。 |
現物出資など | 現物出資をした場合、普通株式と異なる株式を発行した場合、株券を発行する場合(原則株券は不発行なのであえて発行する場合は定款で規定必要)等 |
任意的記載事項
任意的記載事項とは、記載しなくても定款が無効になることはなく、記載しなくても効力を否定されるものではありませんが、あえて定款に記載することで会社の決め事としての効力を明確にできる項目です。
主なものとして、以下の事項が挙げられます。
任意的記載事項 | |
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株主総会の議長 | 株主総会で議長を務める人は開催ごとに決めますが、予め一定の役職(取締役など)の人が議長となる旨を定めておけば議長の選任を毎回行う手続きが省けます。 |
公告の方法 | 公告の方法については、次のいずれかを選択できます。
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取締役・監査役の員数 | 取締役や監査役の員数を記述することができます。取締役会設置会社の取締役は3名以上、監査役1名以上が必要です。 |
事業年度 | 個人事業主の事業年度は、1/1〜12/31ですが、法人では1年以内で任意に1事業年度を定めることができます。 |
設立時に発行する株式の数 | 発行可能株式総数とは、会社が将来に渡って発行することのできる株式数です。このうちの一部または全部が設立時に発行されます。設立時に発行する株式数が設立時発行株式数となります。 この発行可能株式総数は、設立時発行株式数以上である必要があります。 |