会社法による改正に伴い、有限会社制度が廃止されることとなりました。
もともと、有限会社は、株式会社と同様出資者が有限責任しか負わないですむ会社形態で、株式会社より小規模な会社を想定して作られた制度でした。 そのため、最低資本金も300万円と株式会社の1,000万円に比べると定額に設定されているほか、社員(≒株主)の個性にも、ある程度配慮した制度設計となっていました。
今回の新会社法では、株式会社における、最低資本金制度が廃止されたため、株式会社と有限会社を区分するメリットがなくなってしまいました。
また、株式会社の機関設計についても、改正が行われたこともひとつの要因です。
従来の株式会社では大規模な会社を想定していたために、最低限取締役3名+監査役1名の選任が要求されていました。
しかし、会社法では、取締役1名のみを選任し、監査役を選任しない、という機関設計を行うことも可能になりました。これは、現行の有限会社の機関設計と非常に類似しています。
以上、会社法の施行に伴い、有限会社と株式会社を区分する意義が乏しくなったため、有限会社制度は廃止されることとなりました。
ただし、あくまで、有限会社を新設することができなくなったというだけなので、既存の有限会社については、実質的に今までの有限会社と同様に活動していくことができます。
先に述べたとおり、既存の有限会社を会社法施行後も存続できることとなりました。そのような有限会社を特例有限会社といいます。
特例有限会社は、会社法下での株式会社なので、会社法の適用を受けます。
しかし、既存の株式会社や新規に設立した株式会社と違って、『会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律』(以下、『整備法』)による制限を受けます。
特例有限会社は、現時点では、自分で希望しない限り、他の会社形態に変更する必要はなく、今後も特例有限会社として事業を継続して問題ありません。 また、当然『整備法』の制限のない株式会社に変更することも可能です。